
ギターと木の話D 〜ギターを選ぶときに・・・ネックとフレット その1〜
一口に弾きやすいギターといっても色々あるかと思います。ネックの太さや弦高が話題となることも多いですね。ここではどんなギターにも言えることとして、仕上がりの良い弾きやすいネック指板の話をしたいと思います。
左手で握る長い部分をネック、ネック上面の指で弦を押さえる部分を指板というわけですが、ご存知のように指板にはフレット(音程を決めるための金属棒)が打ち込まれています。このフレット処理の良し悪しがギターの弾きやすさを左右します。
フレットはフレットワイヤといって、最初は巻き状になっています。

指板のフレットとフレットワイヤ(部分)
これを切って指板上に彫った溝に打ち込むわけですが、手作業を想像していただければと思いますが、まずネックの幅に切って、最後は端部を面取りしていくという工程になります。この端部の面取りが、多すぎても少なすぎても弾きづらくなってしまいます。
実際にギターを選ぶときは、ネックを握ったときに手をスライドさせてみてください。指板端部からフレットが突出して指に引っかからないかどうか?引っかかるようだと、面取りが不十分なことが考えられます。
お店に長いこと置かれていたようなギターでネックが木痩せしていても、フレットが引っかかる場合があります。木痩せとは経年変化によって木が全体的に収縮することで、これによってフレットが突出してしまうためです。木痩せについては次回にもう少し説明したいと思います。
それから1弦と6弦を力を入れて押さえたときに、弦がフレットから落ちてしまうようなこと(弦落ち)はないでしょうか?もし弦落ちするようだと今度はフレットが面取りされすぎた場合で、このフレット端部の処理具合がしっくりくるかどうかを良くチェックするとよいと思います。

1弦の弦落ち
ところでギターのネックにはオーバーバインディング(バインディング)があるものと、ないものがありますが、バインディングには装飾の意味もあるため必ずしも施されているわけではなく、どちらが良いとかいう類のものではありません。ただ、バインディングがあることによってネック指板部の木痩せの影響を緩和し、ネックからフレットが突出するのを防げるというメリットもあります。

プラスティックでバインディングされたネック
ネックとフレットの話、次回に続きます。