2012年03月20日

メンテナンス日誌〜ストラトタイプの改造

tools.gifネック&ヘッドのシェイプと内蔵ブースターの製作

ようやく春を感じる気候になってきました。今回も改造記です。アトリエ所有のストラトタイプギター、弾きづらさを解消するためシェイプ・アップを試みました。

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某社製ストラトタイプのギター。

決して音は悪くないのですが廉価版の宿命といいますか、ネック端部やヘッドの面取りなどがほとんどありません。ちょっと弾きやすいとは言えない仕上がりになっています。

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ハイポジションを弾くと端部があたってしまいます。

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これだけ角ばっていると握った感触もよくないですね。

指板もフレットがはみ出して、ウェスで拭くとこのとおり。
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スライドしたときに指が痛いです。

塗装をきれいに剥がして、ネック端部のシェイプと調整、フレットの端部処理も行います。

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ネックの付け根、再塗装後です。

塗装後、内臓ブースターを取り付けます。セレクターは目立たないようにジャック金具部に設置しました。

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仕上げは少しこだわってビンテージ加工。弾きやすさ、音、安定感、見た目ともにワンランクアップのギターに生まれ変わりました。


posted by A.C. at 18:42| Comment(0) | メンテナンス日誌

2011年12月05日

メンテナンス日誌〜テレキャスターのセレクタ変更

tools.gifフェンダー60周年記念モデルの改造

記念モデルのテレキャスターを購入された方から、ピックアップセレクタの変更のご依頼がありました。

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1952年当時のスタイルで作られたアメリカンビンテージ・シリーズです。ビンテージといっても新品です。当時のテレキャスターに使用されていたピックアップセレクタの並びは現代のものとは違い、一時期製造されなくなりましたが、このモデルでは本来のテレキャスターのスタイルとして再現されています。

依頼主さんのご要望は、これだと使用勝手が悪いので現在のスタイルに変更して欲しい、とのこと。

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配線の変更を行いスイッチの並びを変えただけなので外見は全く変わりませんが、コンデンサーをOrange Drop というものに変更しています。

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とても良い音になっています。

posted by A.C. at 23:43| Comment(0) | メンテナンス日誌

2011年10月07日

メンテナンス日誌〜アコースティック・ギターの順反り(2)


今回の内容は

@順反りネックの修正 A純正の樹脂製サドルを牛骨に変更 

というご希望でした。

お預かりしたギターは3年前に新品で購入したという某アメリカ有名メーカー製。ご依頼主はエレクトリック・ギター中心に弾くため、アコースティック・ギターを使うことはそれほど多くなく、2〜3時間くらい月に数回程度の使用頻度とのこと。

アコースティック・ギターはエレクトリック・ギターと比べるとやはり弦高が高めなので、反っていなくても弾きづらさがあるかも知れません。ネック反りの修正と合わせて、2つ目のご依頼内容の「牛骨製サドル」の方も低めに製作し、弾きづらさを改善することにしました。

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@ 順反りネックの修正

オーナーさんは木造住宅にお住まいで、部屋には空気の流れがあるため、ギターの保管には適した湿度の安定した住環境のようです。冬場は乾燥対策のため、ギターケースの中に楽器用の保湿剤を入れて保管していたそうです。湿度を一定に保つのは難しいことですが、若干、多湿ぎみだったかもしれません。

通常、順反りの場合はトラスロッドを締めて反りを戻すのですが、まだ新品に近い今の状態でトラスロッドを回すと締めシロを減らしてしまうことになり、避けた方が良いと判断しました。

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トラスロッド部分


1週間ほどギターの様子をみながら調整し、わずかに逆反り気味の初期状態に近い形に戻しました。

ギターの保管ですが、使用頻度があまり多くない場合は、弦は充分に緩めた方がネック反りの防止になります。

A 牛骨製サドルの製作

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サドルの材質を変えると音色が変わります。牛骨はアコースティック・ギターのサドルとして伝統的ですね。今回は弾きやすさも考え、高さの調整も行いました。

試奏の結果ですが、芯の通った華やかさのある音になったと思います。


posted by A.C. at 17:47| Comment(0) | メンテナンス日誌

メンテナンス日誌〜アコースティック・ギターの順反り(1)

tools.gif季節の変わり目にはよくあることですが・・・

涼しくなって過ごしやすくなりましたが、秋はまた夏の疲れがドッと出てくる季節でもありますね。身体はもちろん、ギターもメンテナンスを必要としているかもしれません。

特に今年の夏は雨が多く、湿度が高いと言うことはギターにとっても過酷な夏だったはず。

というわけで、先週はアコースティック・ギターのネック反りメンテナンスのご依頼がありました。

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「最近、なんだか弦高が高くなって弾きづらいなぁ・・・」もしもそんな悩みがあったら、それは多分ネック反りが原因です。でも、ネック反りの弊害は "弾きづらくなる" ばかりではないのです。

ギターはフレットが打たれている楽器で、そのフレットを押さえて音程が決まります。音程はブリッジからフレットまでの距離で決まっているのですが、ネックが反ると困ったことが起こります。『フレットで弦を押さえたときのブリッジからの距離が変わってしまう』のです。

具体的に言うと、ネックが反っている分(弦が指板から遠くなっている分)、弦を "余分に張力をかけて押さえてしまう" ことになります。

そのため、開放弦でチューニングしたときには合っているのに押弦すると音程が狂う(イントネーションが狂う)という、音痴な楽器になってしまうわけです。

ですから、「いくらチューニングしても、弾くとなんだか音程が合わない気がする・・・」そんな場合もネック反りを疑ってみる必要があります。

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順反りしたベースギター(分かりづらいかも知れませんが)

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作業内容は(2)につづく

posted by A.C. at 17:44| Comment(0) | メンテナンス日誌