2011年10月07日

メンテナンス日誌〜アコースティック・ギターの順反り(1)

tools.gif季節の変わり目にはよくあることですが・・・

涼しくなって過ごしやすくなりましたが、秋はまた夏の疲れがドッと出てくる季節でもありますね。身体はもちろん、ギターもメンテナンスを必要としているかもしれません。

特に今年の夏は雨が多く、湿度が高いと言うことはギターにとっても過酷な夏だったはず。

というわけで、先週はアコースティック・ギターのネック反りメンテナンスのご依頼がありました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「最近、なんだか弦高が高くなって弾きづらいなぁ・・・」もしもそんな悩みがあったら、それは多分ネック反りが原因です。でも、ネック反りの弊害は "弾きづらくなる" ばかりではないのです。

ギターはフレットが打たれている楽器で、そのフレットを押さえて音程が決まります。音程はブリッジからフレットまでの距離で決まっているのですが、ネックが反ると困ったことが起こります。『フレットで弦を押さえたときのブリッジからの距離が変わってしまう』のです。

具体的に言うと、ネックが反っている分(弦が指板から遠くなっている分)、弦を "余分に張力をかけて押さえてしまう" ことになります。

そのため、開放弦でチューニングしたときには合っているのに押弦すると音程が狂う(イントネーションが狂う)という、音痴な楽器になってしまうわけです。

ですから、「いくらチューニングしても、弾くとなんだか音程が合わない気がする・・・」そんな場合もネック反りを疑ってみる必要があります。

IMG_4170-small.jpg
順反りしたベースギター(分かりづらいかも知れませんが)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

作業内容は(2)につづく

posted by A.C. at 17:44| Comment(0) | メンテナンス日誌

2011年09月26日

連載・ギター小噺 『ギターと木の話@』


icon_135.gifギターと木の話@ 〜ギターの材料の木〜

アコースティック・ギターはもちろん、メタリックに光るエレキギターもギターはほとんどが木製品。今回から数回に分けて、ギターと木にまつわる話を掲載していきます。

ギターに使われる木と言えば、北方の樹木 "マツ、トウヒ(スプルース)、カエデ(メープル)、スギ(シダー)" や、南方の "マホガニー、黒檀、ハカランダ" などが有名です。

マツ・・・といっても防風林に使われる赤松や盆栽の五葉松などではなく、エゾマツのようなトウヒ属と呼ばれる "真っ直ぐに" 伸びる木。クリスマスツリーの形をした針葉樹です。

建材などでもそうですが "曲がった木目" の材を使った場合、時間の経過にともなって「木目の曲がった方向へ・・・」と力が掛かってしまうので、結果、楽器の狂いに。トウヒ属は狂いが少ないうえ適度の柔らかさも兼ね備え「楽器がよく鳴る」ということでボディトップの材料として使われるのです。

CIMG7404.jpg
スプルースのボディトップ

カナダのメープルシロップで有名なメープルの木は、堅く、弦楽器のネックなどに使われます。メープルの楽器への使用は古く、昔ヨーロッパでガレー船のオールとして使われていたものをバイオリンの材料にしたとか。

CIMG7405.jpg
メープルのヘッドとネック

バイオリンの裏板には "トラ目" と呼ばれる筋(スジ)の入ったメープル材が使用されるようですが、もともと木の歪みの大きい部分。だから裏に使っていたのでしょうが、最近はこの模様の美しさが評価されギターのボディトップ材に利用されたりします。最も有名なのがギブソンのレスポールでしょうか。ちなみに「タイガーアイ」ではなく、トラ模様のことです(タイガーストライプとも)。

CIMG7406-small.jpg
ネックに近い方がトラ目、手前側がキルト模様です。

次回は2週間後、現在のギターはどんな風に出来たのか?などなど お楽しみに!

posted by A.C. at 23:49| Comment(0) | ギター小噺